Echo from Cleveland
 

02. ビザ取得

 留学することが決まったら,まず必要になるのがビザです.アメリカの場合,90日以内の観光目的の滞在ではビザが免除されていますが,それ以上滞在する場合にはビザが必要となります.私のように,研究留学の場合は,ふつうJ-1と呼ばれるビザを取得します.これは,交換訪問者プログラム(Exchange Visitor Program)に参加する人のアメリカ入国を認めるビザです.この交換訪問者プログラムですが,その目的は「アメリカ合衆国の国民と他国の人たちとの間の相互理解を深めるために国際間での教育・文化交流を促進すること」です.要するに,しっかり勉強してアメリカのためにも頑張りなさいということでしょうか.このビザは,1) 所属団体からのみであるが,給料がもらえること,2) 留学先から得た給料が2年間免税になること.という利点があります.また,J-1ビザ取得者の配偶者は,J-2ビザが申請でき,このJ-2ビザも許可が得られれば労働することが可能です.

 J-1ビザは,他のビザと比べて,申請手続きが簡単と言われていますが,3つの条件が必要です.

1.米国広報文化交流庁によって指定された交流訪問者プログラムに参加することを証明する書類Form IAP-66を得ていること.
2.費用を支払う準備ができていること.アメリカの所属団体または,日本の所属団体が費用を持つ場合は,その証明.自費の場合は,銀行の預金残高の証明書.
3.交流訪問者プログラムに参加するに必要な英語力があること.

この条件のなかにForm IAP-66という書類があります.これは,薄いピンク色の紙切れなのですが,ビザの取得や入国,ソーシャルセキュリティーナンバーの取得などの際に,黄門様の御印籠的役割をする大事な書類なのです.

 従って,J-1ビザをもらうために,まずやらないとならないのは,留学先の研究期間から,IAP-66という書類を発行してもらうことなのです.

 2000年の6月にアメリカ心エコー図学会で発表の予定があったので,その時にCleveland Clinic Echoラボの大ボスDr.Thormasに会えれば良いと思い,留学の可否と学会で会えるかどうかという手紙を出しました.しかしながら,結局返事はありませんでした.しかたなく,学会発表の時に,T先生のポスター発表の場所で待ちかまえていると,Dr.Thomasを捕まえることが出来ました.ここで,徳島の大ボスのO先生に書いていただいた推薦状と,業績の一覧を渡し,留学の口約束は取り付けました.

 ところが,帰国後も,いくら待ってもその後の連絡はありません.ボスのO先生の推薦状に対しても返事はありませんでした.ビザの申請だけでなく,海外留学助成金の申請の際に受入機関の証明というのが必要で,何度もメールで問い合わせたのですが,なしのつぶてでした.9月になって助成金の締めきりが近づいたので,その旨をいって催促すると,ようやく受け入れを証明してくれるファックスが来ました.これを受けて,クリニックのEducation departmentにIAP-66の申請をしました.

 聞いてはいたのですが,やはりIAP-66もなかなか届きません.

 11月にアメリカ心臓学学会の発表のため,ニューオーリンズへ行きました.その帰りに,クリーブランドを訪問しました.クリニックを訪れ,Dr.Thomasに2月から留学することと,EducationにIAP-66の件を確認しました.T先生の実験や計測にも立ち会い,いろいろなDr.やソノグラファーを紹介してもらい,引き継ぎも行いました.

 しかしながら,帰国後しばらくしても,まだIAPは届きません.毎週のように催促のメールをしました.しかも,12月中旬からは,年末の休暇期間に入ったらしく,メールで連絡しても休み中という自動返信メールが帰ってくるだけです.そのまま,年を越すことになりました.

 だんだんと焦ってきましたが,1月になってやっとIAPが到着しました.ところが,ほっとしたのもつかの間,書類の不備が見つかったのです.家族が後から入国する予定でしたので,自分と家族の2枚のIAPを頼んでいたのですが,1枚しか入っておらず,そのIAPには家族がいっしょに入国するように記載されていました.また,2月に行くといっていたのに,3月1日付けで発行されていました.また,再発行の依頼が必要なのか?これから,再発行を依頼したら,2月の出発には間に合いそうにない.私の焦りは頂点に達しました.

 確かめた結果,家族の分は私が留学した後,IAPを再発行してもらえばよく,3月1日付けでもその90日前からビザの発行が可能であることがわかりました.大使館の面接に自分で行けば,その日に発行してくれるとのことだったので,電話で面接日を予約しました.しかしながら,ちょうどCCUに入院した心不全患者の担当になり,挿管して人工呼吸を始めたので,徳島を離れるわけにはいかなくなってしまいました.予約はキャンセルせざるを得ませんでした.(決して恨んだりしていませんよ,病棟医長!)

 いよいよ時間がなくなってきたので,HIS(旅行会社)にビザの代理申請を依頼しました.自分で大使館に申請した場合は5000円くらいでできるそうなのですが,HISに頼むと合計1万3千円必要でした.しかし,もう,お金のことはいっていられません.幸い,自分で予約した場合はだいたい2週間先になるのですが,HISはすでに面接枠を持っているらしく,最短1週間でとれるとのことでした.実際,10日後,めでたくビザが印刷されたパスポートが送り返されてきました.出発予定の約1週間前でした.これで,やっと,留学できるという実感が湧いてきました.

01.留学先の決定 03.出国準備
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